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京都府城陽市・荒見神社

*荒見神社(あらみじんじゃ)は江戸時代には、天神社」(てんじんしゃ)と呼ばれ富野・長池集落の産土神(うぶすなかみ)「自分が生まれた土地の守護神」でした。現在の城陽市字富野・字長池にあたります。城陽市の中央部に位置して昔の北は、寺田村、東南は、中村、西は、枇杷庄村、南は、観音村に隣接しました。「和名抄」の久世郡富野郷の地にあたります。地名の起こりは、木津川原に近く、芦荻(ろてき)「アシとオギ水辺に生える草の総称」の生い茂る中で多くの鳥が群生するさまを鳥野と称したことによるとも、また内野に対する外野の意味であると諸説あります。平安時代中期の富野の地には、石清水八幡宮の荘園があり、またその放生会に奉仕する神人がいました。本殿は、檜皮葺(ひわだぶき)の屋根を持ち正面が三間の「三間社流造」(さんけんしゃながれづくり)で、市内の神社建築では、最も大きな規模を誇っています創建は、大化3年(647)九月と伝えられています(重要文化財)。社伝によると小篠峰(こしのみね)に神霊が降り、当地を支配していた三富野部連金建が社殿を創建して天神五柱を祀ったとされます。古くからの歴史深い神社で、境内の四方を堀割(ほりわり)「地面を掘って作った水路」に囲まれ旧富野村の産土神として崇敬されてきました。

*城陽市内最大の神社建築物の本殿

*天神社:菅原道真の怨霊が雷神となって、「天に満ちた」と言われることから道真は、「天満」とも言われます。このため菅原道真を祀る神社は、「天満宮」や「天神社」と呼ばれるようになりました。京都にある天神社の総本山は、北野天満宮です、全国約一万二千社の天満宮・天神社の総本社です。

*境内の四方を堀割が囲む

神社のもとの場所は、長池の東方の山中「五社ケ谷」(ごしゃがだに)と言う所でありましたが、小篠峰なる地がどこなのか現在では不明ですが、その神跡の山麓を「五社ヶ谷」と称しました。現在の当社の東方1.5kmほどの地に「長池五社ヶ谷」の地名が残っています。室町時代に現在の地に奉遷(ほうせん)「神体などをよそに移す」されたと言われています。

三富野部連については、「新撰姓氏禄」(しんせんしょうじろく)山城国神別に火明命の後裔(こうえい)「類語をわらりやすく解説」であるという「三富部氏」(みとべのうじ)が登録されており、この氏族を指していると思われます。近隣の水主神社を奉斎(ほうさい)「神仏などを慎んで祀ること」した水主氏と同系で「先代旧事本紀」(せんだいくじほんぎ)には記載されていませんが、同様の系図が記されている「勘注系図」(籠神社の社家・海部氏に伝わる系図)には、三富部氏は水主氏らと共に「玉勝山代根子命」の後裔(こうえい)である旨の註釈があります。

*神仏習合の名残が残る、鳥居と薬医門が同居する。境内入口

*新撰姓氏禄(しんせんしょうじろく):平安時代初期の815年(弘仁6年)に嵯峨天皇の命によって編纂された古代氏族名鑑です。

*先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ):日本の神代から古代を扱った史書です。

*勘注系図(海部氏系図)「あまべしけいず」:京都府宮津市に鎮座する籠神社の社家、海部氏に伝わる系図です。昭和51年6月に現存する日本最古の系図として国宝指定されました。

*玉勝山代根子命(たまかつやましろねこみこと):水主神社・京都府城陽市、水主直がその祖・玉勝山代根子命を山背大国魂命神、始祖・火明命を天照御魂神として祀ったとされました。

当社の御祭神の内、「天火明尊」・「天香語山尊」・「天村雲尊」は「先代旧事本紀」や「勘注系図」に記載されている三富部氏らの祖で、「阿比良依姫尊」は、天村雲尊の后(きさき)です。一方「木花開耶姫尊」は全く別系統の神であり、なぜこの神が合祀されているのが不明です。

2度ほど再建された現在の新見神社本殿は、慶長9年(1604)に造営されたもので、木鼻の若葉の彫刻など細部にわたる意匠(いしょう)が特徴であり、国の重要文化財となっています。約400年の歴史を持つ鳥居と薬医門が同居するなど、神仏習合の名残を見ることができます。

*荒見神社本殿正面と社伝

薬医門(鎌倉時代末期か室町時代初期の武家または、公家の屋敷に現れる門形式の一)令和5年(2023)に修理が完成し、かつての美しい姿がよみがえり、本殿南側に立つ御霊社(ごれいしゃ)「府登録文化財」は、小規模な一間社流造で元和9年(1923)に建てられた

毎年10月の第3日曜日には、城陽の抹茶を味わう「城陽茶まつり」が行われます。

新見神社の例祭は、毎年10月1日から10月5日まで開催される「おいで祭」です。このおいで祭は、五穀豊穣と無病息災を祈願します。

・神幸祭 おいで祭のメインイベントは、10月1日に行われる神幸祭です神幸祭では、新見神社の御神体が神輿の巡行により、勇壮な掛け声とともに進みます沿道には、多くの見物客が詰めかけます

・宵宮祭 10月4日には、宵宮祭が行われます。 宵宮祭では、境内で新楽の奉納や露店の出店が行われ、多くの人でにぎあいお祭りの雰囲気いっぱいです

・還幸祭 10月5日には、還幸祭が行われます。還幸祭では、神輿が神社に還御され例祭は、終了します

・献茶祭 例祭期間中には、献茶祭も行われます。献茶祭では、地元の茶農家がお茶を奉納し五穀豊穣と無病息災を祈願します

*菊水神座

境内には、「菊水神座」という湧水があり、この水は、諸禍退散生命根源の神水として信仰されています。

菊水は長寿の泉にして 此の水は荒見の神がその身に召します水の衣なり この水を汲む者心こめ合掌禮拝すれば身健かに人生豊かとなるべし

*御祭神

 ・天火明尊(あめのほあかりのみこと):名前の「天照国照」「火明」からわかるように、太陽光や熱の神格化です。また「古事記伝」では、「ほあかり」は「穂赤熱」で、稲穂が熟して赤らむ意味としています。天皇にけいどる他の神と同様、稲穂に関係のある名前でもあり太陽神・農業神として信仰されています。

 ・天香語山尊(あめのかぐやまのみこと):「日本書記」などに見られる神様です。尾張連(おわりのむらじ)等の祖神。天火明命の子供です。神武天皇の東征の時、師霊剣(ふつのみたまのつるぎ)を献上した高倉下命(たかくらじのみこと)と同神です。越後開拓の祖神であり、またその御事績から、人々の魂・生命に活力を授けて下さる神様です。

 ・天村雲尊(あめのむらくものみこと):天香山命(あめのかぐやまのみこと)の子供。伊勢神宮三神主のひとつ度会(わたらい)神主らの祖先神。天系降臨ののち葦原中国(あしはらのなかつくに)の水質がよくないため、天照大神(あまてらすおおみかみ)の命をうけ、改良したという。別名、天押雲根命(あまのおしくもねのみこと)または天押雲命(あめのおしくものみこと)ともいい日本神話に登場する神様。水、農業の神様です。

 ・阿比良依姫尊(あひらよりひめのみこと):日向(ひむか)の阿俾良依姫は天村雲命の妻となり、天忍人命(あめのおしひとのみこと)、天忍男命(あめのおしおのみこと)、忍日女命(おしひめのみこと)を生んだ。

  ・木花開耶姫尊(このはなさくやひめのみこと):桜の如く華やかに咲いて、桜のように儚く散った絶世の美女。まさに美人薄明を絵にかいたような神様です。天照大神の天孫・瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)に一目惚れされ、妻となった。火中で出産するという強さを持つ女神。そんな状態でも無事に出産したことから、安産の神・また火の神として、富士山に祀られた。

基本情報

・ご利益  学業成就・子字の神様・縁結び・安産・育児・延命宝寿・子孫繁栄・事業隆盛・交通・航空安全・建設業守護

・開門時間 自由参拝

・住所 京都府城陽市富野新見田165

・旧国郡 山城国久世郡富野村

・アクセス JR奈良線「JR長池駅」徒歩約5分

     近鉄京都線「富野荘駅」徒歩約12分

     京阪京都バス 城陽さんさんバス「堀口」下車 徒歩約5分

     京阪京都バス 城陽さんさんバス「アルプラザ城陽」下車 徒歩約5分

・パーキング 無料の駐車場がありますが、3台です。神社の南側にあります

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